中高年世代ならば「男子厨房に入らず」という方が多いことでしょう。
しかるにその一方、いそいそと喜んで厨房に入り浸る中高年諸氏の姿も、いまやごく当たり前に見かける光景となりました。
単純に料理を趣味・または同好の士との交流として調理器具や素材・調理法に凝りながら楽しむのもよいでしょうが、もう少しシリアスな事情から先々を考えると、料理技術、特に栄養面や費用対効果面から調理・料理技術に習熟しておくことは、立派な人生の武器のひとつとなりそうです。
(栄養面に関わる知識については、中高年におすすめしたい資格(25)~「栄養検定」 もあわせてご覧ください。)
たとえば、今やこの日本で珍しくない、定年後に配偶者との二人暮らしが長く予見される場合、あるいは男性の単身者で、将来的に親の在宅介護などが視野に入ってきている場合。
こういったとき、単に「おいしい家庭料理が作れる」ことのみならず、自分自身が高血圧や動脈硬化・糖尿病などの生活習慣病を招かないようにするため、あるいは介護が必要な配偶者や高齢の親に対して、栄養学の知識に裏打ちされたおいしい家庭料理を作ってサーブできる技術をあなたが持っていたとしたら、どうでしょうか。
これからの自身と家族の人生においてそれが何ほど心強いか、容易に想像がつくところですね。
このような料理技術と、実践的な栄養学の両面についての知識を問うものとしてよく知られた民間資格に、学校法人 香川栄養学園が行う「家庭料理技能検定(料検)」があります。
家庭料理技能検定は、「実用英語技能検定(英検)」などと同様、文部科学省後援の技能検定です。
家庭料理に関する正しい知識と、栄養バランスのよい料理が作れるようになることを目的とした資格として、40年以上の歴史をもつ試験です(1987年に、現在の名称に改称)。
直近の試験である第22回試験は、全国で3,109名の方が受験しています。
試験は筆記と実技の両方から成り、全国80会場で行われています(2級は東京・大阪、1級は東京のみで実施)。
なお1級試験のみ、事前に問題を解答して試験当日に解答用紙を提出する筆記試験「食事計画」があります。
検定料は9,000円(4級)12,000円(3級)15,000円(2級)17,000円(1級)です。
前回試験の部分合格者に対して同じ級を受験する場合に、筆記または実技試験を免除する(検定料が半額となる)「検定の部分免除」の制度が用意されています。
受験はどの級からでも行え、級の併願もできます。
一般的な目安としては、まったくのゼロベースから勉強して受験するのであれば4級、ある程度料理や栄養学の基本に自信がある人がチャレンジするなら3級、かなり本腰を入れて受験勉強や実技対策に臨まなければいけなくなるのが2級から...といったところです。
1~2級合格者は「料理教室の講師レベル」以上と言ってよく、特に1級はかなりの難関とされています。
成績優秀合格者には、表彰制度も用意されています。
なお各級の試験内容と審査基準については、同サイト内「試験内容(実技試験・筆記試験)」を参照ください。
筆記試験は、各級ともマークシートの選択式となります。
また実技試験では、3級では「魚の下ごしらえ」「斜めせん切り」(基礎実技)「食品が2品以上組み合わさった料理」(調理技術)、2級では「魚の三枚おろし」「かつらむき」(基礎実技)「ライフステージに合わせた一食の食事計画と実施」などが、出題範囲に含まれています。
受験対策としては、「家庭料理技能検定テキスト」「家庭料理技能検定学習ガイド」「家庭料理技能検定過去問題集」といった対策書籍も、全国の書店で販売されていますし、コース別の合格対策講座や通信教育も用意されています(同サイト内「受験のための参考教材・対策講座」ご参照)。
・家庭料理技能検定
【試験日】 (1・2級)年一回・10月(3・4級)年一回・9月
【受験資格】 なし
【合格率】 1級 7名(79名) 2級 95名(426名) 3級1,393名(2,194名)
(第22回試験の合格者数。カッコ内は級別受験者数)
【問いあわせ先】 学校法人香川栄養学園 家庭料理技能検定 事務局
Tel.03(3917)8230