中高年 資格取得の視点(2)~資格で「就職に有利」「収入アップ」はもはや無い でも述べたとおり、中高年のあなたがこれから資格を取得しようとするのなら、「転職や再就職に有利そうだ」とか「この資格はお金になりそうだ」といった「計算する」発想からは入らないほうが賢明です。
中高年世代が資格を考えるときに「計算する」発想から入ると、計算ミスをしたときに~ミスは誰でもするのですが~若い世代に比べると、心理面での「ガックリ度」が大きいものです。

中高年世代は、資格取得(後の自分)に大きな期待をかけすぎというか、資格の価値や効力を過大評価しがちなきらいがあります。
若い世代にとっては、資格が人生をよりよくするための「ひとつのきっかけ」であることが多いのに対し、中高年世代では「人生を構成する要素のひとつ」ととらえてしまい、とる前から資格を自分の人生設計に組み込んでしまう人も珍しくありません。
そのため取得に失敗したときも、それまでの思い入れが強いぶんダメージを受けやすくなりがちです。
計算間違いをした自分自身を責めてしまいがちなのです。
たとえば税理士試験を受けるにしても、20代の若者が「就職に有利そうだから資格をとっておこう」と考えて勉強を始めるのと、「取得後は退職金を元手に独立して事務所を開こう」と考えて40代後半に入ってからはじめて電卓を叩き始めるのとでは、スタートから自分自身の人生に課す「重さ」が、ずいぶん違うわけです。
この「重さ」が、その資格取得に失敗したときには、ズシッと効いてきます。
あきらめてさっさと次を目指そう...というフットワークの軽さを持つ若い世代に比して、中高年世代は思い入れの強さのぶん取得に失敗した自分を責めがちなところがあり、次に向かう気力が萎えてしまうことも、珍しくありません。
「なぜもっと勉強しなかったのか、自分は昔から根性がない...」「受験勉強の時間を会社で残業にあてていたなら、もっと家計も楽になっていたはずだ...」等々、マジメな人ほど、自分を責める理由をこれでもかといくつも並べ立てて自分を叱責しがちです。
もちろん、個人差のある話です。
「自分は何度たたかれても、へこたれない」という自信のある中高年の方は、もうその気概そのものがひとつの強力な武器となっているので、なにもさらに資格なんかとらなくても(笑)十分にやっていけるはずですね。
しかし一方で、「せっかく資格をとったのに、資格取得者には出るはずだった月一万円の資格手当が、会社の業績悪化で制度ごと廃止になった...」といったある意味ささいなことで、もう気持ちが萎えてしまうような方もいます。
人生において資格を計算で選ぶと「計算違い」が生じたときが問題になるよ、というお話です。
中高年世代は、どちらかというと、資格を「計算づく」で選ばずに「好き嫌い」で選んだほうが間違いも少なく、取得のための勉強も長続きするものです。
人生85年として、一生の総時間数はおよそ75万時間。
そのなかで、自分に残された人生の残り時間はあとどれくらいあるのか。
これはなにも、70歳前後の高齢者だけが考えるべきテーマではありません。
資格をとろうと思うなら、どうしても一定時間を、その勉強のために費やすことになります。
難関資格や大型資格の場合、何百~何千時間もかかることが普通です。
「その長い資格取得までの道のり、勉強に費やす時間そのものを楽しめるかどうか」は、自らが中高年の域にいると感じている人にとって、とりわけ大切なテーマのはずです。
自分は、どんなことを楽しいと思うタイプなのか、楽しいと思える人間なのか。
あなたは自分のこころの内で、それをきちんと把握しているでしょうか?
何であっても、資格のために勉強時間をたくさんとられるのはイヤだ...と感じる方は、そもそも資格取得自体を選択肢からはずしてしまったほうが、おそらくはもっと幸せな人生をおくれることでしょう。
そういう方は、「世間の評価も高くなりそうだし、人気が出ていない今のうちにちょっと勉強してとっておこうか」などと、チラとも考えないことが大事です。
中高年の資格取得は、「役立つ」と思えるかどうかよりも「とってよかった...」と自分があとで心から思えそうかどうか、で選ぶことをおすすめします。
海外旅行が好きなあなたは、「世界遺産検定」はどうですか。
アルコールが好きなあなたは、「きき酒師」や「ワインエキスパート」などはいかがでしょう。
数十年来の肩こりに悩むあなたは、「はり師」「きゅう師」「あん摩マッサージ指圧師」の勉強をすることで、その悩みから解放されるかもしれません。

こういったことをあれこれ考えて資格を選ぶほうが、楽しいのではないでしょうか?
資格取得のための勉強だって楽しめるはずですし、もし試験に通らなかったとしても、好きでやったぶん、学んだぶんの知識は自分のなかに残るはずですよね。
海外旅行の行き先を選ぶときに、ワインを選ぶときに、肩こりに悩む父母の肩にお灸を据えるときに。
このあとの何十年かの自分の人生の先をみつめると、自分の人生の実をほんとうの意味で豊かにしてくれそうな資格とは、いったい何なのだろうか。
ぜひ考えてみたいものですね。