遺品整理士は、一般社団法人「遺品整理士認定協会」が認定する民間資格です。
超高齢社会の日本で「孤独死(孤立死)」の件数は増える一方であり、派生的な問題を伴いながら深刻化しています。
明確な定義や全国的な統計こそないものの、東京23区における一人暮らしの65歳や都市再生機構の賃貸住宅における孤立死数がいずれも年々右肩上がりで増加していることから、全国でみても孤独死(孤立死)の今後の増加が確実視されています。
民間では、年に1.5~3万人程度は孤独死で亡くなっているとの推計もあります。
このことは、生前に故人が暮らしていた居住空間を外部者が閉じることの困難さ、なかでも故人のプライベートな情報や相続の問題まで含む「遺品整理」の難しさが、今後ますます高まってくることを意味します。
遺品といっても、故人のこれまでの人生を反映したものである以上は当然のことですが、部屋に残ったままの現金や通帳など遺族に返すべきものから、本人のプライバシーが色濃く記された生前の日記など取り扱いが難しいものまで、実に多種多様です。
それらの遺品の一つ一つの処分方法を適切に判断して、故人を供養しつつも遺族の気持ちにけじめを促していくことは、確かに専門知識と技能が必要とされる仕事と言えるでしょう。
また品物をリサイクルする場合には、廃棄物処理法や各種リサイクル法に関わる法的知識も必要となってきます。
現在、遺品整理については何の法整備もなされていないことから、知識の乏しい便利屋や廃棄物業者が遺族から片手間で受注することも少なくなく、不法投棄や高額請求のトラブル等も絶えない模様です。
ネットが中高年のツールとしても充分に普及している現代は遺品の無形化が進んでおり、本人の死後の取り扱いをどうすべきか遺族が判断に迷うケースも、今後増えてくるでしょう。
たとえば、故人が自分のパソコン内に保管してあった種々のデータや、生前に運営していたブログの閉鎖をどうすべきか等は、外部からの判断が容易でないデリケートな問題を含んでいます。
社会的要請が強くまた高度な専門知識を要する仕事として、遺品整理の正しい知識が地域で求められる素地は充分にあり、かつ職業としての将来性も期待されるところです。
遺品整理士認定協会においては、教本・DVD教材などによる2ヶ月間の通信講座を受講後、課題提出による認定試験を経て資格取得することができます。
受験資格は特にありませんが、むしろ人生経験・社会的経験を積んだ中高年世代の取得こそがふさわしい資格かもしれません。
また同協会の遺品整理士の上級資格として、遺品整理の立会代行とトラブル防止を担う「遺品整理指導士」が用意されています。
・遺品整理士
【試験日】 講座終了後の課題提出による認定
【受験資格】 特になし
【合格率】 非公表
【問い合わせ先】 一般社団法人 遺品整理士認定協会