当サイトは基本的に、将来性や収入にとらわれず中高年以降の人生を充実させるための資格をおすすめしていますが、取得のための時間的・金銭的エネルギーを費やすに値する例外的な資格も、わずかながら存在します。
現状および中高年層の就職・将来性の面から考えても、有望な資格のひとつがこの「管理栄養士」です。
管理栄養士は栄養関連の国家資格(厚生労働大臣免許)であり、都道府県知事免許による「栄養士」の上位資格に位置します。
資格取得後は年齢・体力面などからみた実務上の制約も少ない部類の職種であり、なにより資格保有者への需要が供給を大きく上回っている現状、さらに高齢化の進展に伴う医療機関や介護施設数の長期的な増加トレンドをみても、将来性の高い資格と言えるでしょう。
個人の身体状況や栄養状態などに応じての栄養指導を主な業務とし、病院や介護施設などにおいては栄養士の指導的立場として働くことになります。
栄養士は管理栄養士の指示にしたがって動くのが原則ですので、栄養士は通常、最終的に管理栄養士を目指しながら働いていることが多いです。
厚生労働省は2012年4月の診療報酬改定において、入院患者を受け入れる医療機関に対し、入院基本料・特定入院料の算定要件として、2014年春までに管理栄養士の配置を義務づけました。
一定規模以下の診療所では非常勤でもOKなので、管理栄養士の側からみれば常勤・非常勤の選択権も有しやすい状況になるわけです。
現在、特に地方の病院や診療所においてはこの管理栄養士の配置数を満たすめどが立たず、その確保に大変苦労している地域が多いのが現状です。
管理栄養士を法的に設置する義務のない民間の介護施設や有料老人ホーム、あるいは2011年に新設され今後全国でハイペースの増加が見込まれるサービス付き高齢者向け住宅などにおいても、他施設との差別化のためにも管理栄養士を配したうえで、その指導にもとづく高齢者向けの栄養バランスに配慮した献立メニューづくりや流動食・介護食の考案などの、栄養ケア管理が必要になってきています。
その他にも保健所や給食センターなどに所属し、生活習慣病予防のための栄養指導を行ったり、食品関係の民間企業で研究開発はコンサルティング、あるいは飲食関連の仕事での独立など、働く場所や勤務形態に制約が少ない、資格取得後の働き方の間口が非常に広い資格でもあります。
管理栄養士になるには、管理栄養士養成施設を卒業するか、栄養士の資格取得後に、養成施設の修業年限に応じた実務経験を積んだ上で国家試験に合格する必要があります。
免許取得まで最低でも4年以上はかかる大型資格ですが、中高年世代にとっては時間を費やして挑戦する価値のある数少ない資格のひとつと言えるでしょう。
・「管理栄養士国家試験」
【試験日】 年一回(3月)
【合格率】 49.3%(平成24年度、第26回試験)
【受験資格&問合先】 管理栄養士国家試験(厚生労働省)を参照