自らを「中高年世代」と自覚するまでの長い歳月、自分がどれくらい適切な言葉・表現で外に向けて語ることができたか振り返ってみると、あぁ失敗の連続だった‥と内心思っている方も、少なくないことでしょう。
そもそも自分の周囲の人間関係をベースとして、新聞・テレビ・ネット等を通じて内に蓄積してきた膨大な情報は、あくまで自分が使うための、自分用にカスタマイズされたものですよね。
たとえば就職の面接や発表会・冠婚葬祭の挨拶からちょっとした売り込みやスピーチに至るまで、たまの機会に何らかの「語り」を求められ、あわてて頭の引き出しから言葉や表現を引っ張り出して、なんとか内容をこしらえてみる。
それを基準の不明瞭なモノサシで評価にかけられ、「あの人はこんなヒト」と印象が固定され、あなたの人物像が形作られていくわけですから、考えてみれば不思議なものです。
かりに他人との接触が少ない生活を送っていようとも、外に向けて自らの考え・思い・主張を本気で発信しなくてはならない機会は、長い人生で必ず何度かは訪れるはずです。
そのときに自分の思いを適切に語る言葉・表現を持っているか、あるいは社会の文脈を自分なりにきちんと理解して(社会常識を踏まえて)発言しているかどうか。付け焼き刃では、いかんともしがたい領域ですよね。
それはあなたがこれまで呼吸するように、そして意識的に身につけてきた「日本語」の蓄積がどれほどのものかによって、決まることになります。
多くの人は、いわゆる「きれいな日本語」について、漠然としたあこがれを持っているはずです。
しかし、そもそも「きれいな日本語」とは何なのでしょうか。そもそも、中高年にさしかかった今から、どうやってそれを学んだらよいのでしょうか。
いずれ必ず訪れる老年期も展望して、社会人として「適切な」「正しい」そしてできることなら「美しい」日本語を使える日本人として、残りの日々を過ごしていきたい。
かといって今さら国語の教科書を開くのもなぁ‥と思っている方におすすめしたいのが、「日本語検定」です。
日本語検定は「漢字」「表記」「敬語」「言葉の意味」「語彙」「文法」の6つの領域とこれらを総合した読解力につき、「日本語の総合的な能力」を測る検定試験です。
特定非営利活動法人日本語検定委員会が主催し、2011年からは文部科学省も後援しています。2007年から、年に2回実施されています。年間およそ8~10万人もの方が受験しています。
日本語検定 検定データ
受験資格は特に無く、1級~7級まであります。社会人レベルとしては1~3級となっていますので、まずは2級ないし3級の受験から挑戦するとよいでしょう(検定問題のサンプルが用意されていますので、こちらで手ごたえを測ってから受験級を決めるのもよさそうです)。公式テキスト・過去問題集・公式練習問題集も用意されています。
日本語検定 公式問題集・参考書
たとえば1級・2級の合格基準は「総得点率80%以上&各領域の得点率が60%以上」となっており、上記の6つの領域すべてで一定以上の実力が求められています。
ちなみに1級・2級の合格基準に満たなくても、「総得点率70%以上かつ各領域の得点率が60%以上」は準級(準1級・準2級)に認定されます。
毎日使っている言葉、「日本語の運用能力」に磨きをかけるのは、とても有意義な時間の使い方ではないでしょうか。
「日本語検定」という評価基準のはっきりした資格を持つことは、あなたが外に向けて語るとき、内面の自信となって末永くあなたを支えてくれることでしょう。
・「日本語検定」
【試験日】 2017年11月(2017年度第2回)
【受験資格】 特に無し(複数級の併願受検可)
【合格率】 1級9.2%、2級16.2%、3級33.7%(いずれも2017年度第1回結果)
【問いあわせ先】 特定非営利活動法人 日本語検定委員会