新聞やTV・ネットにおいては自説を補強すべくデータやグラフ類が多く使われるのが、いまや当たり前ですね。
しかしそのデータの出所や集計方法まで踏み込んで、そのデータが主張の裏づけとして適切かどうかまで注意深く調べる人は、そう多くはないでしょう。
メディアに主張を掲載する側も、そのことはよくわかっているようです。
人間の脳は数字の扱いが苦手な反面、曖昧さを嫌うようにできているため、数字を散りばめたグラフ・データ類を混ぜられると、正しい主張と信じやすくなる傾向があるとのことです。
ビッグデータ分析に基づく新説や新情報が洪水のようにもたらされる現代、AI(人工知能)が社会のさまざまな分野に及ぼす影響も、今後ますます加速するでしょう。
あなたが目にし耳に入れた話は、本当に妥当な根拠にもとづく信憑性のある話なのか、それとも自説を正しく見せたいがための、巧妙な飾りにすぎないのか。
私たちは、大量のグラフ・調査結果・データを散りばめた主張や情報を日々消化しながら、自分自身の考えや人格を少しづつ形成しています。
数字を散りばめたもっともらしいニセ情報から、自分の身を守らねばなりません。
論拠となるデータから分析して、話の真贋を見抜き、自分の人生に活かしていく能力が求められる時代になりつつあります。
海外の先進国では小中学生の段階から、統計教育を重視するカリキュラムを組んでいる国が珍しくありません。日本もその方向で、学習指導要領などが見直されてきています。
それでは、これまでバリバリの文系を自認しつつ社会で生き抜いてきた中高年世代が、これから統計を一から学ぶのは遅すぎるのでしょうか?
そんなことはありません。「学生時代の算数・数学なんてとっくに忘れてしまったよ…」という方も、幸いなことに階段を一段づつ上るように統計を読む知識を身につけることのできる資格が、ちゃんと用意されています。
それがこの「統計検定」です。
統計に関する知識・活用する力を評価し資格として認定するのが、一般財団法人 統計質保証推進協会が主催する「統計検定」です。
1級・準1級・2~4級が用意されています。ちなみに統計検定受験者の6割強は、社会人とのことです。
2011年にスタートし、1年で約9,500人の方が受験しています(2016年実績)。年に2回(6月・11月)全国の試験会場で実施されますが、コンピュータ上で都合のよい日時に受験できる「CBT方式試験」も用意されています。
「準1級」は統計学活用とデータサイエンスの基礎、「2級」は大学の基礎統計学レベル、「3級」はデータ分析を身近な問題に活かせる高校生レベル、そして「4級」は資料活用の基本的知識を問う小中学生レベルに設定されています。
「1級」は大学専門課程・大学院レベルで文字どおり「統計の専門家」なので、文系を自認する中高年諸氏はまず3級から始め、2級や準1級の合格をゴールとするのが現実的でしょう。
統計検定とは
検定用のテキスト・過去問題集・公式問題集が、級別に用意されています。初歩から学習を始めて問題練習を繰り返すことにより、無理なく試験の合格水準に達することができるでしょう。
関係図書(統計検定)
データ分析をする人は皆、格好良く言うなら「データ・サイエンティスト」ですが、統計検定に合格すれば、あなたもデータ分析のノウハウと作法を身につけた、立派なデータ・サイエンティストの仲間入りです。
2~3級を取得した後はステップアップとして、統計手法の活用力や調査企画力を測る「統計調査士」にチャレンジしてみるのもよいでしょう。
・「統計検定」
【試験日】 6月/11月(2017年度)
【受験資格】 特に無し
【合格率】 29.71%(準1級)、46.46%(2級)、62.72%(3級)[いずれも2017年6月試験結果]
【問いあわせ先】 統計検定センター 一般財団法人 統計質保証推進協会